2030年、教科書は「紙中心」に? ニュースの先にある、紙とデジタルの付き合い方|今治市の小学生向けプログラミング教室ベストスタディ
2026/10/26
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保護者の方へ
2030年、教科書は「紙中心」に?ニュースの先にある、紙とデジタルの付き合い方
教科書のデジタル化が進むなかで、2030年度からの教科書について、ちょっと意外な方針が示されました。
それは、「紙を主体にする」というものです。
このニュースを見て、「え、タブレットを配ったのに、また紙に戻るの?」と思われた方もいるかもしれません。学校でタブレットを使う姿が当たり前になってきたところでしたから、驚くのも無理はないと思います。
ただ、私はこのニュースを、単純な「紙への逆戻り」だとは受け取っていません。むしろ、デジタルの便利さを一度しっかり知ったからこそ、紙の良さも見直され、それぞれの使いどころが見えてきたのではないか。そんなふうに感じています。
この記事では、ニュースの中身と、読解力についての研究、そして私自身の考えを、分けてお話ししていきます。
- 2030年度以降の教科書は、紙とデジタルを組み合わせる形が基本。小4以下では紙が中心になる方針が示された(まだ素案)
- 読解力の研究では、スクロールが必要な場面で紙のほうが成績が高かった。スクロールが不要なら、大きな差は見られなかった
- 大切なのは「紙かデジタルか」ではなく、「何のために使うのか」を考えて選ぶこと
まず、ニュースの中身を正確に確認します
2026年10月22日、文部科学省が、2030年度以降の教科書のあり方について、大臣指針の素案を示しました。
「紙の教科書に完全に戻る」と受け取られがちですが、正確にはそうではありません。紙とデジタルを組み合わせた「ハイブリッド型」を基本にして、とくに小さい学年では紙を主体にする、という内容です。
| 学年 | 示された方針 |
|---|---|
| 小学4年生以下 | 完全デジタルの教科書は認めず、おおむね紙で構成する |
| 小学5年生以上 | 完全デジタルが認められるのは、外国語や音楽など一部の教科に限る |
デジタルの利点は活かしながら、紙で読むことや、手で書いて学ぶことの大切さも重視する。そういう考え方が示されています。
※2026年10月26日時点では素案の段階で、最終決定ではありません。今後、内容が変わる可能性もあります。
読解力についての、おもしろい研究があります
このニュースと同じ頃に、紙とデジタルの読解力についての研究も話題になっています。2026年1月に発表された論文で、56件の研究、79件の比較結果をまとめて分析したものです。紙、パソコン、タブレット、電子書籍端末、スマートフォンで文章を読んだときの理解度が比べられました。
結果を、やさしく整理するとこうなります。
① 紙のほうが、読解力が高かった
紙で読んだ場合は、パソコンやスマートフォンで読んだ場合より、読解力が統計的に高い結果でした。
② 「スクロール」が必要だと、紙のほうが有利だった
画面を上下にスクロールしながら読む場合、紙のほうが、パソコンやタブレットより読解力が高い結果でした。
③ スクロールが不要なら、大きな差は見られなかった
画面をスクロールせずに読める場合、紙とデジタル端末の読解力には、統計的に意味のある差は認められませんでした。
研究した方たちは、ページを切り替える方式のタブレットは、ほかのデジタル読書の形式より有利かもしれない、とも考えているようです。
ここで、受け止めるときに気をつけたい点があります。
- 「スクロールをなくせば紙と完全に同じ」と証明されたわけではありません
- 「スワイプが悪い」という研究でもありません。ページを切り替えるスワイプは、スクロールとは区別されています
- 調べているのは読解力です。学力全般や、長く覚えておけるかどうかの話ではありません
- 分析の中心は大学生で、小学生にそのまま当てはまるとは限りません
- この研究が、文部科学省の方針を決めたという証拠もありません
つまり、「紙が勝ち、デジタルが負け」という話ではないのです。同じ内容でも、どう表示して、どう操作するかによって、読み方の結果が変わるかもしれない。そこが、この研究のいちばんおもしろいところだと思います。
ここからは、私の考えです
ここまでは事実の話でした。ここからは、私個人の考えとして読んでください。
かつて、教育は紙が中心でした。そこに、デジタル化の波が来ます。効率や便利さを求めて、タブレットやデジタル教材が広がりました。いまはAIも進化して、デジタルでできることが、どんどん増えています。
便利になったことは、間違いありません。ただ、実際に使ってみたからこそ、紙には紙の良さが、デジタルにはデジタルの良さがあることも、見えてきました。今回のニュースと研究は、そのことを考えるきっかけになると思うのです。
イメージは「行ったり来たり」しながら落ち着いていく波
私のなかでのイメージは、sin・cosのグラフのように、曲線が交差する形です。ある時代は紙が中心になり、次の時代はデジタルへ大きく振れる。その行き来のなかで、それぞれの良し悪しを知って、使い方を探っていきます。
ただ、数学のsin・cosは、同じ大きさで揺れ続けます。そのため、より正確には「減衰振動」、つまり揺れが少しずつ小さくなって、落ち着いていく波のほうが近いかもしれません。
とはいえ、教育や技術の進歩が、かならずひとつの正解に落ち着くとは限りません。時代や目的が変われば、ちょうどよいバランスも変わります。だからこそ、「いまの目的には何が合うか」を、その都度考えることが大事なのだと思います。
これは、AIの使い方にも通じる話です
この考え方は、教育だけの話ではありません。会社のデジタル化(DX)や、AIを使った変革(AX)にも、そのまま通じます。
新しい技術が出てくると、どうしても「どこまでデジタルにできるか」「何をAIに任せられるか」に目が向きます。でも、デジタル化やAIの導入そのものが目的になってしまうと、本来の目的を見失いやすくなります。
たとえば子どもの学びで考えてみます。AIがすぐに正解を出してくれると、子ども自身が考える時間を奪ってしまうことがあります。一方で、AIをうまく使えば、新しいアイデアが浮かんだり、一歩むずかしいことに挑戦できたりもします。
大切なのは、「AIを使うか、使わないか」ではありません。何のためにAIを使うのか、です。
「大切なのは、紙かデジタルかではない。何のために使うのか、ということ。」
この記事でお伝えしたいこと
会社の仕事でも同じです。自動化できる作業をすべて自動化すれば最善、というわけではありません。目的に合わせて、紙、デジタル、AI、そして人の力を、どう組み合わせるか。そこに工夫の余地があります。
まとめ:技術の進化は、古いものを捨てることではない
今回のお話は、デジタル教育への批判でも、紙の教育に戻ろうという呼びかけでもありません。AIやDXを否定したいわけでもないのです。
技術が進化することと、それを使う私たちが成長することは、かならずしも同じではありません。新しい技術が生まれれば、選べるものは増えます。でも、選べるものが増えたからといって、何でも新しいものに置き換えるのが正解とは限りません。
新しいものを取り入れて、使ってみて、効果を確かめる。そのうえで、本来の目的にいちばん合う方法を選ぶ。そうして選べるようになることが、本当の意味での進歩なのだと思います。技術の進化とは、古いものを捨てることではなく、新しい選択肢を手に入れることなのかもしれません。
今日からできることを、ひとつだけ。お子さんが何かを使うときに、「これは何のために使うんだろうね?」と、ひとこと聞いてみてください。紙でも、タブレットでも、AIでも、同じ問いかけでかまいません。答えが出なくても大丈夫です。一緒に考える時間そのものが、きっと、お子さんの考える力の土台になっていきます。
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